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cachette -カシェート-

cachette -カシェート-(隠れ家) 管理人華月の日記など。
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無題

雪や

好きで好きで

大好きで

大嫌いなあなたへ

















+安らぎの香+











「――何、これ」





貰った包みを空けると、色のついた大きな蝋燭のようなものが出てきた。





「あろまてらぴー」





あからさまに知ったかぶって言っている様子に、ますますげんなりする。





「…誰に聞いたのさ、銀朱隊長」



「べ、別に誰にも…まぁ、お前は知らないだろうが、それはあろまてらぴーと言ってだな」



「知ってる。そうじゃなくて、どういう風の吹き回しかって聞いてるんだよ」





自信たっぷりに話そうとした彼は言葉をぐっと詰まらせ、僅かに狼狽した。

今時、アロマテラピーなんて誰でも知っている。問題はそこじゃない。

彼がわざわざ調べて買ってきたということは、誰かが自分のことを告げ口したに違いない。





「……最近、寝ていないと聞いた」





――ほら、きた。





「誰に?」



「最初に聞いたのはこの部屋の衛兵だ」





チッと舌打ちをする。

いくら救世主だからと言っても、プライバシーくらいあるべきだ。部屋の前で耳を立てているなど、苛立ちを通り越して気持ちが悪い。





「念のために言っておくが、俺がそれを買ったのは話を聞いたからではない。お前のその憔悴しきった顔を見たからだ」





鏡くらい見たらどうだ、と言われ、自分の顔に手をやる。

確かに、少し痩せた気もする。

だが、夢見が悪くて眠れないのだ。





断罪されるべき見知らぬ男。

いつも通りの行為。

手に残る肉を切る感触。

突如、悪寒が走り

ふと切り落ちた首を見ると

大好きな玄人の首が

転がっている。





「…仕事でも無いのにこんなことして、また彼女怒らせるんじゃない?」



「………分かって、くれるさ」





分からないからいつも別れるんだろう。

またビンタでもされるのかな、なんて考えると、目の前の男が不憫に思えてきた。





「……好きなら、大事にしてあげなよ」





大事に、できるのだから。





心なんて無ければ



恋なんてしなかったのに



心が見せた夢は



あまりに残酷な現実
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